若草法律事務所

離婚を考えている方へ:大府市の弁護士が離婚の基礎知識を解説します

こんにちは。大府市にある若草法律事務所の弁護士の河西です。今回は、離婚を考えている方に向けて、離婚に関する基礎知識をお伝えします。離婚は人生の大きな転機となる出来事です。適切な知識を持って臨むことで、より良い決断ができるでしょう。

離婚の理由:夫婦が考える主な離婚理由

離婚を考える理由は、夫婦それぞれで異なります。しかし、よくある理由はいくつか共通しています。ここでは、夫と妻それぞれの視点から、主な離婚理由を見ていきましょう。

夫が妻と離婚したいと考える主な理由

夫が離婚を考える理由には、以下のようなものがあります。 1. 性格の不一致:価値観や生活習慣の違いが原因で、日々のストレスが溜まっていくケースです。 2. 妻の浮気や不倫:信頼関係が崩れ、修復が難しいと感じる場合です。 3. 妻からの身体的・精神的DV:身体的・精神的な暴力は、深刻な離婚理由となります。 4. 生活費を渡さない:家計を支える義務を果たさない妻に対する不満です。 5. 親族との問題:妻の家族との関係悪化も、離婚の引き金になることがあります。

妻が夫と離婚したいと考える主な理由

妻側からの離婚理由には、以下のようなものが挙げられます。 1. 性格の不一致:価値観の違いや、コミュニケーション不足によるものです。 2. 夫の浮気や不倫:信頼関係が崩れ、やり直すことが難しいと感じる場合です。 3. 夫からの身体的・精神的DV:身体的暴力だけでなく、精神的な圧迫も含まれます。 4. 生活費を渡さない:経済的なサポートがない状況は、特に専業主婦にとって深刻です。 5. 親族との問題:夫の家族との関係悪化が、妻にとって大きなストレスとなることがあります。 これらの理由は、どれも夫婦関係を根本から揺るがす深刻な問題です。しかし、必ずしもこれらの理由がなければ離婚できないわけではありません。

法的に認められる離婚事由とは

日本の民法では、離婚が認められる法的な理由(離婚事由)が定められています。これらの事由は、裁判離婚を行う際に特に重要となります。

不貞行為

不貞行為とは、配偶者以外の人と性的関係を持つことです。これは最もよくある離婚理由の一つです。不貞行為があれば原則として離婚事由となりますが、絶対に離婚が認められるわけではありません。裁判所は、その行為が婚姻関係を破綻させるほど重大なものだったかを判断します。

悪意の遺棄

同居義務や扶養義務を履行せず、そのことが社会的非難に値するような場合のことを「悪意の遺棄」といいます。例えば、正当な理由なく長期間家を出たままで戻らず、生活費も送らない場合などが該当します。単に別居しているだけでは、悪意の遺棄とは見なされません。

3年以上の生死不明

配偶者の生死が3年以上わからない状態が続いた場合、離婚が認められることがあります。これは、行方不明や音信不通の状態が長く続いた場合に適用されます。

強度の精神病

回復の見込みがない重度の精神疾患がある場合も、離婚事由となることがあります。ただし、この理由での離婚は慎重に判断されます。単に精神疾患があるというだけでは不十分で、それが強度であり、今後の療養や生活等の具体的な見込みがあり、その疾患のために婚姻生活の継続が著しく困難である必要があります。

その他の重大な事由

上記以外にも、婚姻を継続できないほどの重大な理由がある場合は、離婚が認められることがあります。例えば、長期の別居や深刻な経済問題、暴行、犯罪行為、性交の拒否、互いの価値観の著しい相違などが該当することがあります。 これらの法的事由は、特に裁判離婚を考えている場合に重要です。しかし、協議離婚や調停離婚の場合は、必ずしもこれらの事由に当てはまらなくても離婚は可能です。

離婚の種類と手続きの流れ

離婚には主に4つの方法があります。それぞれの特徴と流れを理解しておくことが大切です。

協議離婚

協議離婚は、夫婦間の話し合いで離婚の合意に至る方法です。手続きが簡単で、費用もかかりません。以下が主な流れです。 1. 夫婦で離婚について話し合う 2. 離婚条件(財産分与、慰謝料、親権など)を決める 3. 離婚届に必要事項を記入し、両者の署名・捺印をする 4. 市区町村役場に離婚届を提出する ただし、話し合いがうまくいかない場合や、一方が離婚に同意しない場合は、次の段階に進むことになります。

調停離婚

調停離婚は、家庭裁判所の調停委員を交えて話し合いを行う方法です。主な流れは以下の通りです。 1. 家庭裁判所に調停の申立てを行う 2. 調停期日に出頭し、調停委員を交えて話し合う 3. 合意に達したら調停調書を作成する 4. 調停調書の内容に基づいて離婚届を提出する 調停離婚では、第三者の介入により公平な話し合いが可能となります。また、法的な専門知識を持つ調停委員のアドバイスを受けられるのも利点です。

審判離婚

調停が不成立となった場合、家庭裁判所が審判を行って離婚を決定することがあります。これを審判離婚といいます。ただし、このケースは比較的稀です。 当事者が離婚の条件に合意しているものの期日に出頭できない場合や、わずかな条件の相違のみ合意ができず、裁判所の決定であれば承諾が見込めそうな場合に、調停に変わる審判がなされる場合があります。

裁判離婚

調停で合意に至らなかった場合、最後の手段として裁判離婚があります。主な流れは以下の通りです。 1. 家庭裁判所に離婚訴訟を提起する 2. 複数回の口頭弁論を経て、証拠調べを行う 3. 判決が下される 4. 判決確定後、離婚届を提出する 裁判離婚は時間と費用がかかりますが、法的な離婚事由がある場合は、最終的な解決手段となります。

離婚前に準備しておくべきこと

離婚を決意したら、いくつかの準備が必要です。以下の点に注意しましょう。

経済的基盤の確保

離婚後の生活に向けて、経済的な準備が重要です。具体的には以下のような準備が考えられます。 1. 現在の収入と支出を把握する 2. 離婚後の収入源を確保する(就職や転職の準備など) 3. 貯金や資産の状況を確認する 4. 離婚後の生活費を見積もる 特に専業主婦だった方は、就職活動の準備を始めることが大切です。

住居の確保

離婚後の住まいについても、事前に計画を立てておく必要があります。 1. 現在の住居に住み続けるか、新しい住居を探すか決める 2. 新しい住居を探す場合は、予算や条件を決めて物件を探し始める 3. 引越しの準備を始める(荷物の整理、引越し業者の手配など)

子供の親権・養育費の考慮

子供がいる場合は、親権や養育費について十分な話し合いが必要です。 1. 親権を誰が持つか話し合う 2. 養育費の金額と支払い方法を決める 3. 面会交流の頻度や方法について合意する これらの点について十分に話し合っておくことで、スムーズな離婚手続きが可能になります。

離婚後の生活設計

離婚後の新生活に向けて、具体的な計画を立てることが大切です。

経済面での自立

離婚後の経済的自立に向けて、以下のような準備が考えられます。 1. 新しい仕事を見つける、または現在の仕事を継続する 2. 家計のやりくりを見直す(支出を抑える工夫など) 3. 必要に応じて資格取得や職業訓練を受ける

子育ての計画

子供がいる場合は、以下のような点について計画を立てましょう。 1. 子供の教育費の確保(学資保険や教育ローンの検討など) 2. 一人親家庭向けの支援制度の利用(児童扶養手当など) 3. 子供のケアと仕事の両立方法(保育園の利用など)

精神面でのケア

離婚後の精神的なケアも重要です。 1. 趣味や運動で気分転換を図る 2. 友人や家族との交流を大切にする 3. 必要に応じてカウンセリングを受ける 新しい生活に慣れるには時間がかかります。焦らず、一歩ずつ前に進んでいくことが大切です。

離婚に関するよくある質問

最後に、離婚に関してよく寄せられる質問にお答えします。

Q. 不貞慰謝料の相場はどのくらいですか?

A.慰謝料の金額は、婚姻期間や相手の収入、離婚に至ったかどうか、その経緯などを総合的に考慮して決定されますが、数十万円から300万円ほどの範囲になることが多いです。不貞の頻度も慰謝料の金額を左右しますが、不貞の有無・頻度を証明するには客観的な証拠が必要です。LINEやメールのやり取り、不貞関係を認める音声の録音などが重要になってきます。

Q. 妊娠中に離婚した場合、子どもの親権や戸籍はどうなりますか?

A. 妊娠中の離婚では、以下の点に注意が必要です。 1. 胎児の親権:出生前に親権者を決めることはできません。離婚後に生まれた子の親権者は原則として母親になります。離婚後300日以内に(再婚前に)生まれた子であれば、家庭裁判所の調停・審判を通じて前夫を親権者とすることも一応できます。 2. 戸籍:離婚後300日以内に(再婚前に)生まれた子は、前夫の戸籍に入ります。子の戸籍を母親の戸籍に移す場合は、母親を筆頭者とする戸籍を作り、家庭裁判所に氏の変更許可審判申立てを行い、許可を得たら入籍届を役所に提出します。 3. 養育費:生まれてくる子の養育費についても取り決めをしておくことが望ましいです。 4. 出産費用:誰が負担するかについても、できれば事前に話し合っておくべきです。 妊娠中の離婚は、母体や胎児への影響も考慮する必要があります。可能であれば、出産後まで離婚を待つことも検討してみてください。どうしても妊娠中に離婚する必要がある場合は、弁護士などの専門家に相談し、適切なアドバイスを受けることをおすすめします。 離婚は人生の大きな転機です。慎重に考え、十分な準備をすることで、新しい人生のスタートを切ることができます。もし離婚に関して悩みや疑問がある場合は、ぜひ専門家に相談してください。当事務所では、国際離婚を含む様々な離婚ケースに対応しています。
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